> Q&A 浴場での衛生管理

<Q.なぜ浴槽水は消毒が必要なのか?>
この浴槽水の消毒は各都道府県や自治体などによって必要なところと不必要なところがあります。必要なところは非火山性の温泉で近年の掘削技術で温泉が湧出するようになったところが多いです。不必要なところは昔から温泉が湧出し温泉文化がある火山性の温泉が多いように思えます。
ではなぜこのように自治体によって差があって消毒が必要なのでしょうか?。
一つ目は温泉の絶対量で浴槽水を循環しなくても衛生状態が保たれるかどうかというのが大きな要因ではないでしょうか。必ずしも掛け流し式なら安全というわけではありませんが、(1)浴槽が毎日きちんと清掃され(2)新鮮な温泉で(3)浴槽分を1時間で入れ換える量の補給があれば、衛生上安全と言えるでしょう。
二つ目は昔から温泉が湧出している温泉は火山性の温泉が多く、温度が高くpHが酸性側に傾いている温泉が多いことです。これは雑菌が繁殖しにくい、次亜塩素酸による簡易な消毒が出来ないと言ったことが考えられます。しかしながら温泉は生き物である以上泉質や温度の変化を伴います。状況に応じて消毒等の必要性はあるでしょう。
最後に火山性非火山性の温泉に関係なく現代の日本人の体質です。日本人の観光客が発展途上国に行って水を飲むとお腹をこわすと言われるように現代の日本人は免疫力が弱くなっているのも大きな理由です。レジオネラ症の問題は免疫力の弱い高齢者や乳幼児に多くみられます。温泉施設は不特定多数のお客さんが訪れます。すべてのお客さんに対して衛生上安全に努めるために、消毒しなければ維持できない温泉では消毒剤を添加することはやむを得ないことです。


<Q.源泉掛け流し式だと安全ですか?>
結論から言って、掛け流し式は安全ではありません。
掛け流し式が安全と思うのは利用者の間違った認識です。おそらく現代の濾過循環式を敬遠し昔の温泉利用スタイルを好む方が多いのでしょうが、実際にはこの『掛け流し式』には明確な基準がありません。とりあえず循環濾過器を外せば掛け流し式みたいな状況です。弊社で考える安全な『掛け流し式』は、(1)浴槽が毎日きちんと清掃され(2)新鮮な温泉で(3)浴槽分を1時間で入れ換える量の補給がある。というのが条件です。
実際の多くの施設はこれに見合った条件でしょうか。おそらく多くの施設は、毎日の換水や浴槽の清掃は行っているでしょうか?、補給水は夜間タンクに溜めた温泉水を使用していないでしょうか?、浴槽には1時間で入れ換われる補給水が注入されているでしょうか?、ジャグジーやジェットなどの循環配管は存在してないでしょうか?。いずれかに該当すれば安全とは言えません。
また昔の利用者の体質と現代の利用者の体質(免疫力の低下)が違うというのも重要なことです。
ちなみに循環濾過器は正しく管理されていれば、衛生管理を向上させるには大変有効な設備です。上記のどれかに該当するような掛け流し式より、正しく管理されている循環濾過式の方がはるかに安全性が高いです。


<Q.レジオネラ菌って何?>
正式にはレジオネラ属菌といい約50種以上の菌が確認されています。好気性菌(酸素の存在下で繁殖する菌)で酸素があればどこにでも存在する菌です。逆に言えば地下深部温泉水のような酸素の無いところには存在しない菌です。この菌が人間の肺に入り込んで増殖するとレジオネラ症を発症し、症状としては発熱や肺炎を引き起こし重症になると死に至ります。主に空調設備の冷却塔や温泉施設の気泡が発生するような浴槽で感染することが知られています。
実はこのような菌が存在するとわかったのは今から約35年ほど前で具体的に日本でも対策されるようになったのはここ10数年前からです。一昔前に一般家庭でも麦飯石を利用した24時間風呂が流行りましたがこれは麦飯石の中でアメーバーを育成し大腸菌等の雑菌を食べさせて無害化するようなシステム(生物濾過システム)でした。ところがこのアメーバーにレジオネラ属菌も食べられますが、実は食べられたレジオネラ属菌はアメーバーの中で増殖しアメーバーの殻を破って人間に害を及ぼすことがわかりました。これ以降、濾過器は生物濾過システムでなく物理濾過システムの方が安全と言う考え方になり濾過器と消毒剤はセットで管理するようになってきました。
従ってレジオネラ属菌を発生させないためには日頃の衛生管理が重要です。消毒剤として次亜塩素酸を用いていれば、遊離残留塩素の値がレジオネラ属菌有無の指標となります。こまめな遊離残留塩素の測定や定期的なタンク清掃や配管洗浄を行いましょう。